長崎 中央橋
長崎市の中心部を流れる中島川に、戦災復興事業として1952年に架けられた県庁と繁華街を繋ぐ中央橋の初の掛け替え事業。中島川には、眼鏡橋など多くの石橋が架けられており、長崎市の文化・観光の地といえる。このような土地柄に配慮し、掛け替えに伴い新たな造形を施すのではなく、既存の高欄部の笠石を再利用するなど、初代の中央橋の造形のありようを大切にしながら、高欄に開口を設け川面への視線を通し、橋詰のたまり空間に川への視点場を確保するなどの工夫を施している。人と川との関係を考えた細やかで優れた関係のデザインである。過去の記憶を大事にしながらも、現在、そして未来に、この橋のさりげない魅力が継承されるであろう。