素材のわかる匠の技伝承ビジネスメソッド
製品の工業化により、匠の技を必要としない大工工事が増えている。しかしストック型社会への転換が求められる現代において、住宅リノベーションの需要は高まり、そこには技術が必須となる。若い大工の育成は今後の社会において重要課題である。以上の背景から、新和建設は大工育成システムを完成させた。木の扱い・納め方・その精度など400ページに渡る品質基準を設け、専任の品質検査員を配置。6年の研修終了時には技習得レベルとなる伝承・育成メソッドを確立。また単なる育成機関に留まらず、地元高校の卒業生から採用された研修生は食事付きの寮に住み、研修生名と日当が記載された番付表をもとに、親方同士で適宜人員を貸し借りする仕組みがある。研修生の給与・賞与システムを可視化するなど社員として研修するスタンスは素晴らしく、7年目のお礼奉公を終えると同時に独立させ、専属を義務付けていない点にも誠実さが見受けられる。システムの完成度と、業界全体へ貢献する仕組みとして高く評価した。