グッドデザインフリーク

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ビジネスモデルのデザインに関するグッドデザイン一覧を表示

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合板の写真

あかね合板(APボード)が作り出すこれからの山のすがた

あかね材という名称の木材がある。育成不適地に植えた弱い杉が、スギノアカネトラカミキリという昆虫の食害にあった木材であり、被害は全国に広がる。あかね材か否かは製材後にしか判らず、あかね材の場合は食痕により価値を失いチップや燃料となる。これは手間と時間をかけて育てた商品価値が暴落するということであり、山は経済的打撃を受ける他、伐採/放置/腐敗/山の荒廃という負の連鎖の原因となる。それを断ち切るため本対象がプログラムされた。最終的な主旨は「現在の杉が大量に植えられた山は人工的/不自然な風景であり、次代に向けて生態系を取り戻す必要がある」というものであり、それは地域ごとの母樹から発芽させ育てた、地域性苗木を植えることで達成されていく。将来的にはそれら樹木の用途が生まれ、また景観資源となって地域の経済価値を生んでいく。このプロセスを実現するための資金源として、あかね材を合板として商品化し高付加価値利用をする試みが開始された。結果、チップとして処理されるのに較べ、多くの資金を山へ還元することに成功している。研究データに基づく実行プログラムと経済的好循環の実現、さらに本来の山の姿を復元することによる新たな森林経済の創世活動として高く評価した。

伝統工法の継承の写真

木組耐力壁が繋ぐ大工の技能

住宅業界において構造体プレカット加工は著しい進化を遂げ、一度もノミを使うことなく住宅を完成させることができる時代となった。大工の伝統技術/専門性は失われつつあり、将来の担い手の減少へと繋がっている。そこで技術継承とプライド復興のため本対象のプログラムが生まれた。木組耐力壁である理由は、現代のプレカット加工機では再現できない人の触覚や木の特性を見分ける力を要する技術であること。また住み手の暮らしを豊かにするものであること、というふたつの条件を満たすモノとして開発された。木組耐力壁は合決という技法で作られる最も初歩的な継手技術であるが、ノミさえ使ったことのない若い大工にとっては未経験の技術習得が必要となり、木組みの素晴らしさに触れるきっかけとなる。無論ただのトレーニング活動ではなく、量産性の高い住宅会社として現実的に普及可能な技術レベルをスタートラインとして設定している。先端技術は困難を容易へ変換し、一方で専門性を排除する。その結果として生じる職業意識やスキルの損失は看過できない問題である。市場から乖離することなく、職の誇りに着目/復興させるバランスの取れたプログラムとして高く評価した。

 
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