曽木の滝分水路

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分水路

コミュニティ・地域社会のデザイン

熊本大学(工学部社会環境工学科 景観デザイン研究室) (熊本県)

サステナブルデザイン賞

鹿児島県の川内川流域は2006年7月の記録的豪雨で甚大な被害を引き起こした。

この曽木の滝分水路は、その災害復旧の一環として建設された。

最大の特徴は自然景観保全のために地形改変を最小限に抑えつつ治水機能を満足させた事。

そのためこの地の特徴である岩盤を上手く生かした事である。

河川断面を決定するために入念な事前検討を行い、岩盤を粉砕するダイナマイトの位置を細かく計算するなど、工学的、技術的解決により、今までにない自然な河川空間を作り上げた。

その結果、災害復旧にとどまらず近接する観光地「曽木の滝」と連動し、アメニティの確保といった新たな価値を地域に創出した事は土木的にも画期的な事である。

曽木の滝分水路の概要平成18(2006)年7月に発生した記録的な豪雨は、鹿児島県の川内川流域に甚大な被害を引き起こした。
その災害復旧を目指した直轄河川激甚災害対策特別緊急事業(通称:激特事業)が採択され、その一環として、曽木の滝分水路(洪水を分流する施設)は建設された。
年間約30万人が訪れる観光地「曽木の滝」に近接するため、景観保全への配慮が必要であった。
設計時の入念な検討から、施工時の試行錯誤まで、すべてのプロセスで新しい試みを行った。
その結果、地形改変を最小限に抑えて治水機能を満足させるとともに、アメニティの確保や豊かな環境創出をも実現し、災害復旧にとどまらない新しい価値を地域に与えることに成功している。
プロデューサー国土交通省
ディレクター島谷幸宏(九州大学大学院工学研究院教授)、小林一郎(熊本大学大学院自然科学研究科教授)、星野裕司(熊本大学大学院自然科学研究科准教授)
デザイナー星野裕司(熊本大学准教授)、熊本大学:景観デザイン研究室、空間情報デザイン研究室、株式会社東京建設コンサルタント、河野耕三(緑化指導)、福留脩文(石工指導)
曽木の滝分水路の開発・企画についてサステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと
大規模土木構造物は、環境を保全する以上の価値を地域に付与する必要がある。
当施設は滝を眺めるだけではない、体験型の観光も行える場所を提供した。
また、その価値は長い時間をかけて育まれていくものと考え、無垢の岩々やせせらぎ、豊かになっていく森などの自然素材によって構成し、時間変化を受容し、成長していく環境を構築した。
以上の効果はウォーキングイベントの開催などを通じて地域の人々と共有している。
曽木の滝分水路のデザインについて「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること
一般的な防災施設は単調で非人間的な施設になりがちだが、当施設は、曽木の滝を眺めるだけであった水や岩に直接触れることができる場所を創出した。
具体的には、維持管理上必要な管理用通路に対して、階段の適切な配置によって回遊性を確保し、歩くことのできる河床は広さや線形に適した仕上げとした。
このように、地形に沿った様々な場所を提供し、それらの体験を容易に行えるよう工夫を行っている。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること
当施設では、洪水時以外には水の流れない分水路に、周辺の田畑を潤す用水を通して、人が触れられるせせらぎとしている。
これは、アメニティやビオトープの向上を図ると同時に、非常時には洪水が流れる防災施設であるということを日常的に可視化するということである。
このように、日々の暮らしの中に防災施設を組み込むことを通じて、人々の防災意識を涵養し、災害に対する安心感の確保と保持に貢献した。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること
今までに例のない工事を、地場の建設事業者と試行錯誤しながら実現したことは、彼らに自信と実績を与えることができたと考えており、これは、観光的付加価値とは異なった産業的価値である。
従来このような試みは、時間的制約や災害復旧という強い目的によって困難であった。
当施設では、デザインという視点を激特事業に導入することによって、その限界を打破し、復旧にとどまらない地域貢献を行うことができた。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること
曽木の滝は、観光客の多くが滝を眺めるだけの通過型の観光地であった。
当施設は眺めるだけであった水や岩々に直接触れることができ、終日滞在することも可能な場所をこの観光地に付加し、滞在型観光地への転換を促している。
また、土壌法面の緑化には、潜在自然植生の考え方を導入することによって、土地の植生に基づいた「多層群落の森」を早期に形成し、法面の保全をしつつ、自然な森に成長していくことを目指している。
ユーザー・社会に伝えたいこと建設事業を「地図に残る仕事」と表現することがあります。
これは、地球が長い時間をかけて築いてきた大地にかかわる仕事だということです。
また、日々の暮らしは、その仕事によってつくられた施設(インフラ)に守られています。
つまりインフラとは、これらをつなぐインターフェースなのです。
このインターフェースが豊かになることで、それぞれの土地に生きる私たちの暮らしが、よりかけがえのないものとなることを望んでいます。
どこで購入できるか、どこで見られるか鹿児島県伊佐市曽木地先熊本大学景観デザイン研究室/プロジェクト/川内川/曽木の滝分水路国土交通省九州地方整備局川内川河川事務所 激特事業
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オフィシャルサイト http://www.civil.kumamoto-u.ac.jp/keikan/project/kagoshima_sogi/index.html

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