5層のワンルーム住居
グッドデザイン賞
崖地という厳しい敷地条件を逆手に、建築の空間に生かして生まれた大変ユニークな住宅である。
通常なら、大掛かりな造成を行った上に建築を建てるところだが、あえて敷地の傾斜なりに床のレベルを設定し、それを一つの大きなトンネル状のワンルーム空間としているところが画期的である。
レベル差によって生まれた様々な居場所は、緩やかにつながりながらも程よい距離で分節され、家族それぞれのプライバシーと一緒に住むことの楽しさをうまく両立させている。
5層のワンルーム住居の概要 | 計画地は崖地という立地条件から未開発のまま取り残されていた土地で、かつては長閑な田園風景だったこの場所も、近年住宅群へと徐々に都市化の様相を見せている。 ご家族の要望は、互いの気配を常に感じられる暮らしと、一方で適度な距離を置くことに順応できる住宅であった。 計画は元々この場所に備わっている環境を壊す事なく、自然な佇まいができないかを模索した結果、崖地のレベルに従って導かれた5段の床に生活の機能を持たせ、全体は段状のワンルーム空間で構成されている。 この空間は階段の存在がなく各々の関係性に微妙な距離感が生まれている。 家族という複合体と個人という単体がつかず離れずの関係で共存できる暮らしを可能とする。 |
5層のワンルーム住居の製品仕様 | 構造:木造 敷地面積:336.87㎡ 建築面積:96.94㎡ 延床面積:109.59㎡ 階数:地上2階建て |
プロデューサー | 株式会社松山建築設計室 |
デザイナー | 株式会社松山建築設計室 |
5層のワンルーム住居のデザインについて | 建築や家族の暮らしは、その場所でしか生み出されないと実感した住宅であった。 |
ユーザー・社会に伝えたいこと | 5層のワンルーム住居は名のとおり、まさにこの場所の特性を読み解くことで導かれた建築である。 崖地という一見不利な立地条件を受け入れ、この場所だからこそ生まれる建築を目指した。 場所性を享受し、段状の空間構成へと至ったのは、自然な導きであった。 建築の構造は木造で構成され、屋根を支える格子梁がそのまま内部の仕上げとなっている。 床はコンクリートの土間仕上げで床下には土壌式床暖房が敷き詰められており、冬場でも快適な環境を実現している。 削ぎ落とした内部空間はコストに耐えられる仕様ではあるが、暮らしに必要なさまざまな生活道具が無造作に置かれていても、それをも享受できる強さがある。 造り手側が最小限の空間を用意し、住み手側が自由なままに色付けしていく暮らしこそ豊かさに満ち溢れていると感じたプロジェクトであった。 |
ユーザーの使いやすさや商品の親切さの向上のためにデザインが特に取り組んだ事項 | 振り返れば、本当に過酷なプロジェクトであった。 土地を購入する前から設計依頼の相談があり予算的にも厳しい中、設定した土地購入費用内で格安ではあったが、案内された敷地がかなりの崖地であった。 崖地という条件では、断られるのではと心配していたクライアントは事前情報を伝える勇気がなかったらしく現地を訪れて状況を知ることに。 安価な土地と出会えず、数年間土地探しで苦労されたご家族の様子を見ていただけに、なんとかしなければという想いだけで引き受けた土地であったが、それからはまさに予算との闘いであった。 とはいえ崖地だからこそ生まれる豊かな住空間をめざして、試行錯誤しながらなんとか完成まで辿り着いたが、それまでの過酷なプロセスを共に歩んでくれたご家族の喜びを前にして、建築の専門家としてこのプロジェクトに関われた幸せは何ものにも代えがたいものになった。 |
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オフィシャルサイト | http://www.matsuyama-a.co.jp/ |
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