{つながりの家}

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医療福祉施設でのアートプロジェクト

社会貢献活動のデザイン

やさしい美術プロジェクト

グッドデザイン賞

ハンセン病療養所がある香川県大島において、入所者との対話を通じ、アートプロジェクトという手法を用いながら、あえて負の記憶を切り開こうとする真摯な活動を評価した。

また評価したことはその思想や姿勢、行動力だけではなく、大島の生活・記憶・文化を表現テーマとした展示やカフェ、ガイドツアーなどの一連のメニュー設定であり、来島者が親しめる回遊性の高いフィールドワーク型プログラムはコミュニティ・デザインとしても魅力的な取り組みといえる。

{つながりの家}の概要{つながりの家}とはハンセン病療養所である大島とその外とをつなぐアートプロジェクト。
GALLERY15は入所者が暮らしていた住居=15寮を活用し、大島の生活・記憶・文化を表現している。
カフェ・シヨルは入所者が手塩にかけた野菜や果物を調理し大島の土で作った器で大島を味わうことができる。
また来島者と施設をめぐり大島の歴史と入所者の生き様を伝えるガイドツアーを実施。
これらの取り組みが連携して来島の多様な機会を創り出す。
また入所者の心情や生きた証に触れるアートプログラムによってハンセン病の理解を促し、傷つきやすく痛みを携えた人間存在を世界に発信する。
ディレクター髙橋伸行
{つながりの家}のデザインについて「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること
他者の痛みを自身のこととして捉える感覚は人間が長い間に培ってきた回路である。
後遺症を補うために入所者が自作した自助具を展示するなど、GALLERY15ではハンセン病をめぐる様々な「痛み」を人間存在の普遍的テーマにまで昇華する。
こうした共感の場によってそれまで遠くに感じられた大島が来島者自身の問題意識へと引き寄せられる。
人々の大島への距離感が縮まるに連れ、入所者は社会的な共生の萌芽を実感する。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること
強制隔離の時代に入所者が作った野菜や果物を口に運ぶ者はいなかった。
カフェ・シヨルはこうした誰にも顧みられなかった食材に着目し、入所者の農の営みを食という感得しやすい形にして来島者へ提供する。
また「食べる」とはこの上なく深い受容を表し、背景にある差別や偏見といった固まった考えを一気に溶かす力がある。
大島で初めて作られたカフェ空間は、入所者と来島者が一所に集い、語らうコミュニティーの場である。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること
大島で採取した陶土で食器を制作し、カフェで提供する食と結びつけた。
入所者の解放感に満ちた想い出話に登場する木造の釣り舟を砂浜から発掘し、地下から仰ぎ見るように展示した。
大島にあるどんな些細なものでもそこに存在する理由があり、大島の表現になりうるのである。
こうして今まで意識化されていなかった様々な事物が新たな存在価値を与えられ、人々の目に触れていくことによって入所者は次第に誇りを取り戻していく。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること
ハンセン病療養所として歴史の終焉を意識せざるをえない中で、本取り組みは、大島にできる限り多くの人々の関心をつなぎ留め、何をどのように遺し、継承していくかを実践する。
特にガイドツアーは大島を忘れないために未来へ継承する大きな役割を担う。
季節ごとに収穫祭を企画して入所者と共に畑に入ったり、古い写真を閲覧しながら入所者から聞き取りを行うなど、入所者の記憶と生の証を次世代へと語り継ぐ場を提供している。
ユーザー・社会に伝えたいことハンセン病療養所の大島に「行ってみたい」と思っていてもなかなか来島に結びつかなかった人々に「ぶらりと」訪れるきっかけを作りたいと思っています。
そして道端で入所者の皆さんと出会ってほしいですね。
また大島を訪ねたくなりますよ。
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