マスカー

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冷凍倉庫・冷蔵倉庫

商業・産業用途の建築物・空間

女川魚市場買受人協同組合 、大成建設株式会社

復興デザイン賞

震災復興がまだまだ遅々として進まない中で生まれた冷凍冷蔵施設。

力強くシンプルな造形、津波の力を受け流す断面構成、充分な省エネルギー計画など、実に真っ当で実直な計画である。

復興には様々な支援が必要であるが、このように漁業を支える施設が沿岸の低平地に、カタールからの支援によって、しかも極めて素早く実現できたことの意義は大きい。

今後の地域の心の拠り所にもなるであろう。

マスカーの概要計画地である女川町は、宮城県北東部に位置し、北上山地と太平洋が交わるリアス式海岸に囲まれた自然豊かな港町である。
女川港は古くから天然の良港として栄え、さんま漁では日本有数の水揚げ量を誇った。
しかし、2011年3月に発生した東日本大震災により、町は甚大な被害を受け、かつて賑わいを見せていた多くの水産施設もまた、深刻な被害を受けた。
クライアントは、女川魚市場買受人協同組合。
水揚された水産物を保存するための冷凍冷蔵施設である。
「2012年秋、女川にさんまの水揚げを」を合言葉に、水産の町の復興のシンボルとして計画された。
プロデューサー女川魚市場買受人協同組合 副理事長 石森 洋悦
ディレクター大成建設株式会社一級建築士事務所 埴田 直子
デザイナー大成建設株式会社一級建築士事務所 木幡 理朗
マスカーのデザインについて「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること
震災時にいち早く「町の復旧拠点」として機能することを目指した。
3階の復旧支援室は、電気・ガス・水道の独立したインフラを備えており、有事の際には地域の人々が一時的に身を置き、復旧活動の拠点として機能する。
備蓄倉庫には、備えとして食料や毛布などを蓄えている。
また、震災時にエントランスが施錠されていても施設内に入れるよう、ガラスを割るハンマーを扉の脇に備えている。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること
2階から上部はS造とした。
軽量化による下部構造体への荷重を減らすと共に、24m×27mのロングスパン架構を実現し、フレキシブルで使いやすい冷蔵室とした。
1階の柱は十分な強度を得るためSRC造を採用した。
塩害による耐力低下を防ぐと共に、メンテナンス性向上のためコンクリートのかぶり厚を通常よりも20mm増した。
基礎は、津波による洗掘に耐えられる場所打ちコンクリート杭を採用し、建物の転倒や浮きを防ぐ。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること
「津波に耐える」施設として、想定した津波の浸水深さは6m。
数十年から百数十年に1度の確率で女川湾を襲う「レベルⅠ」規模の津波の高さとした。
浸水深さの3倍に相当する18mの静水圧が、地上から2階の床までの範囲に水平方向に作用する条件で計画している。
津波が襲来すると、波力により1階外壁のALCパネルが先行して外れ柱だけが残る。
そうすることで建物に加わる津波の力を最小限に抑え、2階から上を守る。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること
この施設の事業費は、被災地の水産業復興のために設立された、「カタールフレンド基金」の助成金による。
「MASKAR」の名は、潮の満ち引きを利用して仕掛けに魚を追い込み捕獲する、カタールの伝統的な漁法に由来する。
自然の原理を利用し共存する。
という古からの精神が、これからの津波対策に息づくようにというカタールの人々の想いが込められている。
ユーザー・社会に伝えたいこと「復興のシンボル」というクライアントの言葉が、プロジェクトの原動力であった。
完成した今、町のどこにいても目にすることができるこの施設が、これから永く復興のシンボルとしてあり続けると確信している。
そして同時に、未来に向けて復興のあり方や被災地での住まい方について議論される中で、いち早く実現に至った事例としてこの施設が論じられることが、「復興のシンボル」として期待するもう一つの姿である。
どこで購入できるか、どこで見られるか宮城県牡鹿郡女川町石浜字高森155-1
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