大川の家

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個人住宅

住宅や住宅設備

竹原義二 / 無有建築工房(大阪府)

2011年度 グッドデザイン賞 受賞

材木商の倉庫に残されたさまざまな木材を組み合わせ、それをひとつの住宅にまとめあげたデザインに注目した。

これは手持ちの材料を活かした、一種の知的ブリコラージュとも言える高度な仕事である。

大川の家の概要材木の町大川市に位置し、雄大な筑後川を望むように木材置場の一画に建てられた住宅。
木の魅力を最大限引き出すため、材木商である施主の倉庫に長年眠っている広葉樹を中心とした約80種類の木を、材寸、肌ざわりなどできる限りありのままの姿で活かし、大工の手技で組み上げる。
堤防と同じ高さに持ち上げたコンクリートスラブの上に、田の字型平面を構成し、立体的な外部やヴォイドを挿入して光や風の抜け道をつくり、空間に間合いをもたせ、一枚の大きな屋根で繋ぎとめる。
無塗装の荒削り板の外壁は時間と共に灰汁色へと変化し、製材前の本来の姿に還っていく。
その深い表情は雄大な筑後川を背景に材木の町の風景に馴染んでいく。
プロデューサー有限会社 高田製材所
ディレクター無有建築工房 竹原義二
デザイナー無有建築工房 竹原義二
大川の家の開発・企画についてサステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと
木という素材をあるがままの姿で表現する。
それは古来から続く日本建築が持っていた、木を接ぐ、あるものであてがっていく、端材まで無駄なく使い切る思想を受け継ぐことを心掛けた。
木を適材適所にあてがう技術は、失われつつある大工の技術を次世代に受け継ぐことにも繋がっていく。
この住まいは太陽光を利用したオール電化住宅でもあり、昨今問題となっているエネルギー資源についても積極的な利用を試みている。
大川の家のデザインについて「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること
様々な木の種類と仕上げ方が住まいの中にちりばめられていること。
色や厚みや肌ざわり、匂い、温度、質感、どれをとっても異なる表情をもつ木たちと向き合うことは、多くの偽物や表層に囲まれた現代に、本物の素材を感じ、五感に働きかえる何かが潜んでいる。
木だけでなく、漆喰や、石、コンクリートなど素材そのものがもつ質感をありのままの姿で表現することで、人間の身体性を取り戻すことを試みている。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること
粗い板壁で囲まれた内部空間には、内と外が混ざり合う空間が拡がる。
光、風、季節、素材によって変化し続ける空間は、その場所の風土を取り戻し、不均質がもたらす豊かな生活環境を生み出す。
住まいの中心となる食堂を軸に展開するそれぞれの場所は、廊下で隔たれることなく、外部空間や吹抜けを介して、ずれながら繋がっていく。
これは、それぞれが自立しながらも、繋がっているという、家族の在り方がかたちとなっている。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること
衰退しつつある材木の町で、地場産業を活性化させることは、木の本当の魅力を多くの人に伝えていくことに繋がる。
素材はうまく使われて初めて実用性をもち、多くの人に使われていく。
安価で規格された使いやすい資材ばかりが多く流通する中、個性の強い木や、クセで流通からはねられた木を適材適所に活かした空間づくりが、木の本当の魅力を伝え、地場産業の活性化のきっかけをもたらすことを願っている。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること
均質化された現代にあり、不均質なものをいかに利用していくか。
写真や文章ではうまく伝わらない、その場で向き合ってはじめて感じとることのできるものの魅力を伝えていくことを、ここでは人が住まうという実践の中で生み出された。
単なるショールームではない、時間とともに変様する状況をできるだけ多くの方に伝えることがこの住まいに課せられた社会的役割でもあり、木の不均質な本物の魅力を伝えることでもある。
ユーザー・社会に伝えたいことその時代、そこにある素材、そこにある技術を適材適所にあてがい、継ぎ接ぎながら、ありのままの姿でつくるあげること。
素の姿がみせる不揃いや粗さの中に潜む、本物の力強さと美しさを引き出す技術を再考し、継ぎ接ぎながら全てを使い切る日本古来のものづくりの精神を見つめ直すこと。
見失われつつある構造美や素材美の新しい価値を、現代の手仕事によって見出していくこと。
これらが、今まで以上に必要とされる。
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